トライアルとかUI翻訳とか

ここのところいくつかの取引先からの依頼で、トライアルのようなものをやった。そのどれもが受けた方ではなくて、評価する方で。英日・日英の両方。両方一気にやるのは、ほぼ初めての体験。

翻訳やっていれば必ず経験するトライアル。今回の各状況や対象人数とかそういうのは詳しく書きませんが、非常にためになった。印象としては、原文に引きずられることの執拗さ、とでもいうのか、これうまく言葉にできていないけど、とにかく原文というのはかくもこんなに訳者を縛るものなんだな、ということを再確認。まあもちろんプロの翻訳者たるもの、そこから解放されて、原文と絶妙な距離感を保ちながら訳文を構築して紡いでいくものなのではありますが。

評価しながら、面白いことに気づいた。基本的に直訳をしている人の思考回路って完全に同じものになってるんですね。要は、This device provides many useful functions and enables us to do ~ みたいな原文があったとして、直訳くんたちの訳は、ほぼすべてにおいて主語が「この装置は」で始まり、「たくさんの便利な機能を提供し」という部分を経て、「かつ~をさせることができます」みたいな構造に落ち着いている。きれいに揃ったその姿はさながら、三角定規をピシッと角を合わせて並べていった、みたいなイメージでキレイにさえ思えるほどで(笑)。本当であれば、その訳文を提出するんじゃなくて、そこからがスタートなんじゃないか?っていうところではありますが、英検一級や他の英語関連の資格を持った(全員ではないが)直訳くんたちはそこで力尽きてしまったのでしょうか。

それとUI翻訳の案件もあった。

キツいんですよ、UI翻訳って。対象となるソフトのスクリーンショットや実際のデモ版みたいなのがない状態で、ただただ翻訳対象文字列がエクセルでやってきたりすると特に。でも今回はかなり柔軟な対応をしてもらっているので、とても助かっているので感謝なんですが。UI翻訳するときや、こういうIT系の翻訳する際にとても助かるのが、Microsoftのリソース。

ここで、UI訳語データというものをダウンロードできるんですが、それがかなり膨大なデータで。これをそのうちTrados以外でも使える汎用の辞書データにしようと目論んでるんですが。それにしても相当のデータ量です。このサイトでは、他に用語集やスタイルがイドもダウンロードできて重宝してます。この用語集、とりあえず辞書化しておくといろんな案件に流用できるのでとても便利。まずはとにかくこの膨大なUI訳語データを暇な時間を使って紐解いていこうかなと。

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2 thoughts on “トライアルとかUI翻訳とか”

  1. トライアル評価は昔ちょっと経験しましたが、受検者が知り合いだったのですさまじく神経に来ました。
    品詞の転換がなされていないと直訳が目に付くのかもしれませんね。
    原文の品詞をそのまま保持して訳出すると「日本語(英語?)お上手ですね」になるというか。
    大学の基礎課程までそういう訓練を積まされてしまうので、きっかけがないと脱却しがたい思考の癖がついてしまっている気がします。
    たまに「直訳でお願いします」という依頼が来るとしばし悩みます。

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    • 知り合い受験者はかなり気を遣いますね…「日本語お上手ですね」わかります。確かにそうだ。
      日英で「直訳調を維持してください」って言われると(あるんです)、完全に読者を無視したその注文に頭を抱えますね。

      Reply

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