言ってはいけない

人間関係でも仕事でも、明らかに言わない方が良いことってあるよね、っていう記事があったので。

フリーになった頃からRSSで購読しているブログでDumb Little Manというのがあるんだけど、ちょっとおもしろい記事が出ていた。

これ仕事で言うのはどうかな…的な5つの言葉だって。確かになーとうなずいた。

「わかりません」
「わかりません」という返しというか言葉を聞くと、学生時代を思い出す。当時、授業中に当てられた生徒の言う言葉が、大体この「わかりません」だった。あまりにも「わかりません」が連発されたため、「君たちの「わかりません」という答えは、本当にわからないのではなくて、考えることを放棄しているという主張だ」と言った教師がいたのを覚えているけど、今思えば本当にそのとおりだな、と思う。「(正直言って)わかりません」ということもあるだろうけど、そこに前向きな印象は残らない。ましてや仕事の場で、あるタスクを任されることになったとして、そのタスクをやり果せるだけの知識が足りないということを「わかりません」と言うことに代えてしまうと、「わからないということをきちんと言える良い従業員」という良い印象を与えるなんてことはまずないだろうなと。もちろん無知であることを言わないでいて後から「実は、わかりません…」という最悪なのもあるけど、責任放棄に近い印象を与える「わかりません」という言葉を使うより、「まず調べてみます」とか「足りない部分が多々あると思うので、まず調査させてください」とか、前向きな印象を残す言葉を使うと良いかもしれない。個人的には、「とりあえず調べますね」という言葉はよく使っている。

「できません」
ある意味「最強」の言葉(笑)。特に「このタスク/仕事お願い」って上司などから振られてこの言葉を使うと、リクエストを完全に拒否しているのでとても破壊力抜群ですね。基本的にタスク・仕事をアサインする側は、相手側のスキルやアビリティを見積もって(かつ信じて)依頼しているはずので、そこで「できません」コールを出してしまうともうすべてが終わりになってしまいますね。なので、自分の能力を超えていると感じたとしても、とにかくまずはやってみること、一歩踏み出すことが大切なのはまあいろんな人が言ってるのでここであえて書くまでもないというわけではあるけれど。

元サッカー日本代表の中村俊輔選手のインタビューをどこかで読んだことがあって、その時のメモが手元に残ってるんだけど、それを見返すととても大事なことを言っているのがわかる。このインタビューは(多分検索すればわかると思うんだけど)、確か彼がイタリアのレッジーナに移籍してしばらく経ってからのものだと記憶してるんだけど、ちょっと書いてみる。

とにかく忍耐力。特に言い訳をしないってこと。監督、チームメイト、ファン、マスコミ、それに住んでいる環境・文化の違い…言い訳をしようと思ったら、材料はいくらでもある。でもそれって自分には何もプラスにはならないし、かえって足を引っ張ることになる。監督が使ってくれないなら、どうしたら使ってもらえるのか。チームメイトがこっちのプレーの意図を理解してくれないなら、どう理解してもらうか。マスコミに叩かれることもあるし、ファンに野次られることもある。そこで「何で理解してくれないんだ」って愚痴っても何かが変わるわけじゃない

言い訳をしない。まあ「状況・背景説明のための言い訳」っていうのはありだと個人的には思っているんだけど、他人や環境のせいにするっていう文脈での言い訳は確かに何も産まない。あと今でもちょこちょこ頭に浮かんでくるのが、次の言葉。

あと同じような意味だけど、逃げないってことだね。使ってもらえないから移籍するとか、日本に帰るとか考えるのはすごく簡単なんだけど、まずはもがいてみることが大事。このクラブじゃ自分を生かせないとかっていうのは簡単だけど、じゃあ自分はどうなのって省みて、今何かできることはないかって考える習慣をつける。出場させてもらえないなら、今のうちにフィジカルを強化しようとか、探せばやれることはいくらでもあるから

まずはもがく。これってかなり大切。自分の能力を超えてるかも…と思えるような仕事が来て、「あー、無理かもです、だって…」みたいな方向へ持っていくか、「やります、とりあえず調べまくります」という方向へ持っていくかでかなり結果は変わってくると思うし実際そういう経験もした。

というわけでちょっと脱線したけど、「できません」って言うよりは、「精一杯やってみます…モゴモゴ」みたいな方が良いなと思う。

「この分野は未経験でして」
「この分野の経験がないので…」って言うのは、自分も言った経験もあるし言われた経験もあるんだけど、大切なのは、「この分野の経験がないので」の後に何か言葉が続くかどうか、という点だと思う。この分野の経験がないので「無理!」というのか、それとも「足を引っ張る可能性は高いですが、頑張ってみます」というのか。後者のオプションを選択した場合、納期が伸びるかもしれないしもっと資料がもらえるかもしれない。頑張ってやってみた暁には、それは立派な経験値として自分に加えられるので、「分野違いです」という代わりに「この分野は未経験ですが、やってみようと思います…がんばりますです」と言えるかも。

でも、断るための「この分野の経験はちょっと…」っていうのは全然ありなんじゃないかとも思います。

「以前にやっていたやり方では…」
仕事の進め方っていうのは環境や場所などに依存しながらも多様な方法があるけれど、1つの組織に長く所属していた場合は、その組織でのやり方が身に染み付いてしまうというのはよくある話だろうと。でも例えば所属組織が変わった場合、様々なものが変わるわけで、以前のやり方に固執したままでは孤立してしまうのも事実かと。コミュニケーションという観点からしても、たとえ以前に慣れ親しんでいた方法がベストなものであるとしても、「いや、自分が前いたところでやってた方法ではこれこれこういう部分が良いのでやはりそっちのやり方のほうが良いと思うんですよね」なんて言っても軋轢を産むばかりで全然効率的ではなくなってしまうので、まずはその方法を踏襲した上で「ここをこう改善してみるとこういう効果があるんですよね…」みたいな感じでうまく持っていったほうが自分も周りも楽になるかも。

いやまあだから組織に所属するのってゲフンゲフン。

「あの人とは働けない」
出ました伝家の宝刀。これを言っちゃあおしまいよっていう典型例の一言。「あの人とは無理です」っていうのは、プロとして仕事してお金もらっている立場で一番言っちゃいけない言葉なんじゃないでしょうか。もちろんそう言わざるを得ないシチュエーションっていうのもあるだろうけど、それはもう最後の最後の最後くらいにコソーリ言う…のかな。どうなんでしょうか。自分は言ったことないですが(言いたいことは多々あったけど)。「あの人とは働けない」っていう主な理由としては、基本的に人間関係(人間性とか性格の不一致)に起因することが多いと思う。でも仕事でそれを言ってしまうと、チームはギクシャクして仕事やプロジェクトにもろ影響が出てしまう。そして空中分解…なんてことはさすがにないかもしれないけど、自分の評価は完全にダダ下がってですよね。チームからはじき出されるならまだしも、会社からはじき出される、フリーとかだったら完全に干される…考えたくないです。それよりチームや計画をきちんと把握することに努めて、人(人間性とか性格)じゃなくて目標を達成するための努力やプロセスに注目することが大切なのでは。

とは思うものの、やりにくい人ってのは往々にしてどこにでもいる。反面、自分もそう思われているかもしれない。なので客観的な視野をいつでも持っていたいものだ。本当に難しいけど。

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