エアコンの季節

日本の夏は蒸し暑い。

自分の周りの南国出身者たちが口を揃えて「国より暑い」と言うのだから、日本の暑さはスーパータフなのだ。機械とか車とか人間とか、暑さの耐久試験的なものをしたいのであれば、断然日本で実施することをおすすめする。最高度に極限まで試せるはずだ。いやマジで。っていうくらい、暑い。そして蒸す。

そんな夏のある国日本で、エアコンは必須アイテムである。いやまあ我が家にもエアコンはあるんだけれど、リビングルームだけ。なので、夏の間はリビングルームを拠点として、エアコンを稼働させてサーキュレーターと扇風機を回しまくって家全体を冷やしていた。狭い2LDKなので別に冷えるんじゃない?と思われるかもしれないが、我が家は2階。日中炎天下にさらされている天井からじわじわと降りてくる赤外線は、夜になってもしぶとく部屋を熱し続けるのです。断熱材入ってないのかな…てか日本の住宅とかアパートって断熱材がとても薄いっていう記事をどっかで読んだことあるけど、まあそういうことなのか。ただ、風通しが良いので、風のある日はなんとかそれでも凌げたんですけどね。

思い返せば、2010年も大変な年だった。というのも、その時乗っていたプントHGTのエアコンが壊れてしまい、直そうにもいろいろ重なって直せなくて、結局その夏をエアコン無しで乗り切ったのだ。真夏にエアコンのない車を運転する。これは、真夏に家の中で焚き火をするようなもんです。でも人間不思議なもので、2週間で慣れる。暑いな~って言いながら窓全開で運転していると、その風で涼を感じられるほどに慣れるんですよ。

長いこと自分の部屋で仕事をしてきているが、これまでエアコンはなかった。暖房は石油ストーブなので、問題ない。問題はエアコンのない夏をいかにして乗り切るか、ということに尽きていた。エアコンのない蒸し暑い部屋で緻密な頭脳労働をする。これは本当に消耗が激しいのだ、メンタル面でもフィジカル面でも。いくら水やアイス、その他、体を冷やすナニカがあったとしても、蒸し暑い中でやる翻訳作業はイライラする。浮かんでくるものも浮かんでこなくなる。汗が目に入って痛い。暑いのは部屋の中と自分だけでなく、作業に使うPCなどの道具や機器類も熱くなる。そうすると、必然的に室内の温度は上昇。リビングのエアコンをつけっぱなしにして家全体を冷やす計画など、この灼熱地獄の前には無意味となる。

そう、暑い中でやる翻訳作業という頭脳労働には、良いことなどまるでないんですよ。仕事の質にも関係してくる。お部屋の温度管理はとても大事なのだ。

そしてまたやってきた日本の夏。毎年毎年「今年の猛暑は記録的なものになりそうです…」と同じことを繰り返してもうすでに10年以上経っているのではないかとも思うのだが、とにかく毎年夏は暑い。これまで夏になると目をつぶってきたエアコンなし問題、今年こそ決着をつけてやる…と思いつつ、もうかれこれそれこそ10年くらい。

というわけで家電量販店へ。もう買う前からメーカーだけは決めていた。ダイキン。エアコンといえば、ダイキン。泣く子も黙る、エアコン界の大魔神。なので、ダイキン一択でした。取付工事にあたっては、こないだ組んだばかりの作業机や棚をすべて取り除かないといけない。工事が土曜だったのでいろいろスケジュールの都合もあって、取り除き作業は前日の夜にやった。結構疲れるのだが、灼熱地獄とお別れだと思えば気分も軽い。億劫になっていた書籍整理も兼ねつつ、工事日を迎えた。

業者さんは一人。一人でこなすというのが、なんともプロフェッショナル。我が家は2階なので、室外機は外の室外機専用ベランダみたいなところに取り付ける必要がある。それも一人でこなされていた。その分だけ実費だったんだけど、なんか安くしてくれた。感謝。

そしてついに。その時を迎える。我が作業部屋が、涼風で満たされ、灼熱地獄から西岸海洋性気候も真っ青なくらいに過ごしやすい状態となる、その時が。

なぜ早くこうしなかったんだろう。なぜやせ我慢してたんだろう。昨日までどうやって生きていたんだろう。

そんな疑問が頭の中を駆け巡る。何という素晴らしい環境。エアコンとはなぜこんなにも素晴らしいのか。近代における人類の最も素晴らしい発明なんではないだろうか。AIなんかよりずっとずっと素晴らしい。

かくして、ついに、エアコンが導入された。

やはり作業も仕事もしやすい。集中できるし、機材の熱なんかもそんなに心配しなくて良くなった。そして気温が低いと、カブトムシも長生きするらしい。

素晴らしいのが除湿。冷房よりも除湿を使っている。さらっとドライに。この作業部屋の隣が寝室で、このエアコンをつけていてもあまり意味はないかと思ったのだが、つけてないと寝室もジメッとしているので、つけっぱなしにしている。除湿にしていると、朝方とても楽です。起きたときに汗をかいていないことがこうも楽なのか。

良い環境づくりのための投資は大切だ。これを書いている今日と昨日はエアコンが不要なくらいに涼しいのだが、まだまだ暑い日が続く。皆様もご自愛ください。

エアコンは素晴らしい。

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2 thoughts on “エアコンの季節”

  1. こんにちは。

    なんとエアコンで1本書けるとは。
    こっちも蒸し暑い県で、エアコン1つで2部屋冷やすともう片方は灼熱になります。買い替えられたらとは思ってるのですが。

    Reply
    • コメントありがとうございます。
      こちらはここのところ涼しい日が続いており、低温注意報が出るという始末で…一週間くらいエアコン使っていません。今年はあまり暑くなかったなー…なんて言えるのもエアコンのおかげですね。

      Reply

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