未払い(不払い?)

報酬はきちんと振り込まれないと困ります。

ここで言う未払いとは、報酬の払込が期日までに行われないこと。過去に何回か経験がある。フリーの翻訳者に対する報酬の支払いって、案件を納品した月の翌々月払いがほとんどなので、報酬の受領までちょっと間が空く。そのままコンスタントに案件が入っていればいいんだけど、大型案件なんかの場合は、それにつきっきりになっていて他の案件に手がまわらないっていう状況が度々発生する。大型案件の憂鬱っていうやつですね。まあそれでもその憂鬱さは報酬(あと他の仕事)さえ入れば吹っ飛ぶんだけど、困っちゃうのは、期日に入ってこないパターン。何回か経験した。海外の取引先で、1日2日遅れるっていうのはままある。基本的には3日くらい遅れたら催促を入れるという感じ。催促メールを書くのも億劫だし、とにかくあんたらちゃんと入れてくれさえすればいいのに!と思った。国内の取引先は、今パッと思い返してみて思い出せるのは一社くらい。他は普通にきちんと振り込んでもらえてるので安心。

不払い、ってのもある。あんまり詳しく書くとアレなので、端折るけど。

まだフリーになる前、小さなソフトウェア会社の翻訳部門で働いていたとき、あるクライアントから、そのクライアントと取引のある企業の大きめのドキュメントを英訳してほしいという依頼が入った。そこそこ大きな案件だったため(大体60万円くらいだったのだが、当時の自分にとっては大きな案件だった)、いくつかの部分に区切って、その部分毎に分納するということになった。そして翻訳作業開始。分納分も滞ることなくすいすい進んでいたんだけど、少しずつクレームが入り始めた。最初はすべて確認して対応していたのだが、だんだんクレームの「幅」が曖昧かつ大きくなってきて、ちょっとなんだこれはという雰囲気になってきた。例えば、「訳文ファイルの英語はこれで通じるんですか?」とか「全てがどうもしっくりこないので、最初から訳し直してください」とか「とにかく全ての訳文が英語として意味が通ってないように思えます」とか。こっちは英訳者から上がってきたファイルを逐一きちんとレビューして、クロスチェック済みのものをネイティブチェッカーにまわして、返ってきた英文校正済みファイルに最終レビューをかけてから客先に送っているので、「意味が通っていない」とか「これで通じるのか?」とか言われても、範囲なり個別のセンテンスや訳語、表現をきちんと指定してくれないと、何が悪くてどうしてほしいのかわからない。気になる部分を個別にご指摘くださいとメールしても、その分は無視。最後のファイルを分納したあとに、「今回の仕事はひどすぎるので、お宅で使った翻訳者とレビュワーの連絡先をください、こちらで話をします」と言ってきて、さすがにその情報をそのまま教えることはできないのでその旨伝えると、それに対する返信はしないで、「翻訳者とレビュワーの個人情報よこせ」ばかり言ってくる。これはヤバイなと思い社長に相談すると、「ハズレの客だね。こういうの過去に二回くらい経験あるよ。こっちが、料金はいりませんよっていうと何も言ってこなくなる。しょうがないね、契約書を取り交わしてないこっちのミスでもあるし。こちらはプロフェッショナルとしてすべきことを遂行しましたが、どうしてもご納得いただけないのであれば翻訳料金は請求しません、そのかわりお取引はこちらから願い下げですみたいな内容証明送ってそれで終わりにするか、出るとこ出るしかないね。いずれにしろ僕の方でやってみる」ということで、案件は社長送りとなった。

果たしてメールはぱたっと止まった。以降、何も言ってこなくなった。まあなんだか詐欺(というのか悪質なクライアントとでもいうべきか)に遭遇したようでしばらく寝込んだ。自分の仕事、依頼した英訳者とレビュワーの仕事に問題があったのか、みたいなことがずっと頭から離れなかったけど、社長が「まあこれも経験。他の稼げる案件で稼ぐしかないね。切り替えて。でも今後は契約書の締結とか考えたほうが良いね、僕の方で作っておきます」という言葉で、ちょっと持ち直した。もちろん英訳者とレビュワーには仕事分の報酬をきちんと会社から支払った。自分もその月の給料は受け取っている。で、すぐにその後5倍以上の規模の案件が来たので「まあこれで良しとしよう」ということになった。

こういうことから会社や自分自身を守る手段として、やはり契約書は一つの方法となるわけで、そのあたりのことも踏まえて(今更ではあるが)勉強しなければいけないな…と、このエントリを書きながら思った。まあそれにしてもめんどい仕事でした。もう二度とこういう経験は嫌、ほんと。

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4 thoughts on “未払い(不払い?)”

  1. 願い下げ案件が給与収入の頃でよかったですね。
    個人としてしか翻訳を請け負ったことがないので、もろに自分で報酬返上と以降のお断りを経験したことがあります。
    どう見ても日本語を分かっていない英語の文句ばっかりよこす一見さんで。
    一方、客先からエージェントへの支払いが遅れるので当該客先の案件だけ当方への入金も遅れるってケースは今も意外と頻発しています。
    回収リスクをかぶるのまではエージェントの仕事じゃないのかしらと首をかしげつつ。

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    • 確かに直クライアントの一見さんとやり取りするときって結構そのあたりが少し怖いっていうのはありますね…殆ど無いですけど。
      でもそのラインスレスレの自称英語王っていうお客はいるのでなかなかタフです、それも。

      Reply
  2. Hiroko Yoshidaさんよりコメント転載:

    トラブルもブログに残しています。ストレス発散と他の人への参考に。

    1個目は書いたか忘れましたが、イスラエル(払わない人だったらしい)のケースで延々取り立て、おまけに最後になってディスカウントされました。あとは30日以上遅れた海外のケース、これも海外で詐欺に遭ったケース、などです。

    もちろん全部次はありません。

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