人体の神秘。

放置しすぎた。このブログ。久々に再開する。

書いていないわけではない。別のメディアでちょこちょこ駄文を書き散らさせて頂いてはいるんだけれど、やっぱり仕事で書くのってきっちり構成からワードから情報から、いろいろ様々な方向に気を遣うので、書き切ると自分のブログとかで適当に書こうと思えなくなってしまう。まあ疲れてしまうわけです。でもこのブログは何も考えないでひたすら書いていきたいと思っていたし、それが自分専用メディアの特権+強みだし、やっぱり文章の仕事してるんだったら書いてなんぼだし、今まで以上に何も考えないで書きたいことを書こうということで再開に至った、っていう話。

で、である。

去年の暮れ近くの話ではあるんだけど、コロナになったんですよ。スーパー喉が痛くて本当に剣山を飲み込むとこういうことになるんだろうなっていうくらいに喉が痛かった。熱もまあまあ出た。39°C。子供の頃はよく熱を出していたし、熱が出ていてもまあ大したことはなかった。が、大人になるとまあ辛いんだこれが。そこへ悪寒+喉の痛み+頭痛、っていう。もう二度目はいらない。結局病院へは行かなかった。市販の解熱剤で乗り切った。熱が出ると喉の痛みも盛大に盛り上がる。が、解熱剤をキメると、スッと熱と痛みが引いて、自分はとりあえずこのまま良くなるんだろうなっていう雰囲気になる。市販とはいえ、馬鹿にできない解熱剤。ちなみにロキソニンとナロンエース。解熱剤が切れると禁断症状に陥り、またも自分はコロナ患者なのだという現実に突き落とされる。痛みが増し、熱が上がり、ふらつきが半端なくなる。そして解熱剤をぶっこむ。効く。切れる。死ぬ。キメる。天国。切れる。死ぬ。このサイクルの繰り返し。それで一週間くらい。喉の痛みが完全に取れたのはそれでも10日以上経ってからだった。ただだからといって、即回復したというわけではなかった。ダルさが取れない。いつまで経ってもダルい。まあ年がら年中「ダリーなー」って言っている毎日ではあるのだが、そのラインにさえ到達していないダルさなのだ。つまり、ずーっと疲れが取れずに横になりたい欲求しかない、というクラスのダルさ。人生全体を時計に例えるなら、夏の日の気だるい午後2時から4時くらいまでがずーっと続いている感じ。

しかも、である。

少し納期長めの仕事をちょうど受注していた時期にコロナになってしまったため、納品まで残り二万文字というところで熱だの喉の痛みだのダルさだのと戦わねばならなくなった。事情を話したらPMさんが親切にも一日納品を伸ばしてくれて、一日は休めた。が、本調子でない状態で二万文字と格闘した。そして制した。そりゃプロですもの。でももう嫌だ、無理です。これはマジできつい。コロナ自体、二度目はいらない。仕事を抱えた上でのコロナはもっといらない。ほんとに。ギブアップ。というわけでまあ人生初のコロナ体験は、それ相当にキツいものではあった。

しかし、である。

人体の神秘は、コロナを簡単に終わらせてくれはしなかった。次なるステージが待ち受けていたのだ。

朝。とんでもないめまいで目が覚める。これまでに経験したことのない、とんでもないレベル。胃の奥がすっと冷たくなる。まさか脳疾患?ぐらぐらする頭を抱えて吐き気を押さえつけながら、ふらふらと起き上がる。一応歩けるし、ろれつも回っている。ろれつの確認に良いのが「パ・タ・カ」と言ってみることらしい。言ってみる。言える。気持ち悪いけど、バナナを食べる。普通に飲み込める。どうやら脳疾患ではないらしい。もう一度仰向けになる。めまいは襲ってこない。が、体を横に向けたその瞬間、目がまわり自分の周りの風景がゲシュタルト崩壊を始め、吐き気がさながら黙示録に登場する四騎士の後を追うハデスのように腹の底から湧き上がってくる。どうやら体の向きによってめまいが発生しているらしい。ちょっとだけピンとくる。自分の持病であるメニエールと何かの関係があるのか?こういうときはGoogle先生にお伺いを立ててみるのが常套手段。「めまい 横になる」と打ち込むと、耳鼻咽喉科のウェブサイトがたちどころにヒットする。そのうちの一つをタップする。どうやら世の中には「良性発作性頭位めまい症」なる病気があるらしい。説明を読み進める。

特定の頭の位置の変化により(例えば寝返りをうった時、頭を洗うために下を向いた時、ベッドから起き上がった時など)出現するめまいです。耳を原因とするめまいのなかで最も発症数が多いものの、比較的治りやすい疾患です。内耳にある耳石器(じせきき:頭や体の傾き具合を感知する器官)の耳石が剥がれ、三半規管の中に入り込んでしまうことで発症すると考えられています。

症状としては、ある頭の位置や角度になると、めまいが起こります。ぐるぐる目が回る感覚が強いため、恐怖感や不安感、吐き気を伴ったりしますが、聴力低下はありません。めまいの持続時間は数秒から1分程度のことが多いです。赤外線スコープを用いた平衡機能検査、必要に応じて画像検査などを行います。

症状を抑える薬を使うことがありますが、いわゆる特効薬はありません。耳石の転がりを戻す体操があり、体を動かしていくことが重要です。様子をみていても、多くは数日から数週間のうちに症状は消えていきます。

ビンゴ。これだ。きっとこれに違いない。すこし気が楽になる。「比較的治りやすい疾患です」というところを読んだ瞬間に、もっと気が楽になる。もう一度、横になってみる。瞬間襲ってくるめまい。体を元に戻す。めまいは収まるが、収まらないのが吐き気。胃の中にあったもをすべて戻してしまった。戻すのなんて何年ぶりだろうなんてことを考えながら、胃や食道が自分の意に反してぜん動運動を繰り返すがままにひたすら身を任せた。戻すのってエネルギー使うのね。疲れた。原因は大方分かっている。コロナ罹患してくたばっていた間、同じ体勢で寝ていることが多かった。自分のお客さんの仕事を抱えていたがため、その仕事はなんとか方を付けたが、基本的には寝ていた。横になってKindleを読んだりスマホで何かを見たり読んだりしていることが多かった。たぶんその姿勢を長く続けていたことが良くなかったのだろう。

なので、すぐに予約を取って耳鼻科へ行った。頭にはめまいが残り、気持ち悪さマックスの状態で耳鼻科の先生の前に立つ。メニエールのことを言うと、念のために聴覚検査もやりましょうということになり、同時に実施。結果は特に問題なく、聴覚は良好だった。それは良い。だけど先生、めまいの度合いを見るので、とかなんとか言って、人の頭をぐりんぐりん回す回す。おかげでめまいが誘発され、目と頭がぐるぐる回り始める。先生が口を開く。「あー回ってるね、これ、申し訳ないけどよーく回ってる。良性発作性頭位めまい症ってやつだな」と嬉しそうに。待ってくれ。コロナから生還を果たしたばっかりの病み上がりの体に、この仕打ちはキツい。「先生、キモいです…」ととぎれとぎれに訴えると、「キモいよねー、これはキモい病気なんだよね」と先生はこともなげに言う。

かくして良性発作性頭位めまい症なるものという診断がくだされた。しかし特効薬的なものは存在しないらしく、気休め程度の「酔止め薬」が処方され、専用体操の説明の紙切れをもらって帰った。治療は体操以外ないらしい。耳石がもとに戻るか小さくなってなくなりでもしない限りずっとこのめまいは続くらしい。そんな脅しとも取れる説明を聞いて戦慄していたが、それから3日位でめまいはおさまった。体操が功を奏したのだろうか。そう信じたい。病院はその一回きりで行っていない。

ただちょっと面白い現象に気づいた。それ以来、メニエールの発作がないのだ。めまい症は、去年の12月くらいの話なので、かれこれ半年、耳のトラブルがないまま来ている。これは初めてである。人体の神秘、である。

まあそんなこんなで、奥さんの実家の両親・義理の兄+姉が全員同時にコロナ罹患というイベントを除けば、特になんということもなく今まで生きてきている。その間に世の中はChatGPTが席巻してまくっているような感じになってしまっているが、もう周回遅れの情報かもでもあるが、生きている。仕事もしている。

やっぱり何も考えないで書くのは良いね。こんな文章誰も読んでいるはずがないので、やっぱり好きに書くのが一番良い。ストレス解消になる。書こう。書こう。そして、書こう。

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