シンセ遍歴(今週の一曲)

シンセを弾く時に使ってたステレオアンプが壊れた。ついに。
結構思い入れがあったKenwoodのアンプ。高校の頃に近所のリサイクル屋で買ったアンプ。ついに寿命が尽きたのだろう。

というわけなのでアンプがない。
アンプがないとシンセが弾けないだけでなく、居間でiPodで音楽が流せない。
音楽は基本PCか車で流すのがもう最近の主流になってしまったけど、やはり居間でも流したい。なのでキーボードアンプを導入すべく色々と探していた。
シンセは基本的にRoland。なのでアンプもRolandがいいなと思ってたんだけど、いかんせんお値段が。結構いい値段するんだよねーアンプって。一時は心折れかけてBEHRINGERでもいいか、と思ったんだけど、展示品で安くなっていたKC60があったのでえいっとクリックしてしまった今夜。BGMはHerbieのJust around the cornerって感じで。

そういえばいろいろなシンセを弾いてきた、素人なりに。

父親が音楽をする人だったので、子供の頃から音楽は身近だった。特に70年代のハードロック系(Deep Purple, Led Zeppelin)は、胎児の頃から聞いているので結局今でもその辺りのカテゴリの音楽が、自分のルーツだと思っている。幅広い音楽を聞くんだけど、結局はROCKが好きなんだよねという。で、父親はベース・およびギター弾きだったけど、子供の頃から鍵盤に憧れていた。でもピアノよりはなぜかオルガン、そしてエレクトーン。エレクトーンが自分にとって魅力的だったのは、イカした二段鍵盤、右足はボリュームペダル、そして左足でベースペダルを軽やかに跳ねる、そんな姿が単純にカッコ良かったっていう。エレクトーンは非常に魅力的な楽器だ!と思ったことを覚えている。何のことはない、ただ人と違う鍵盤楽器をやってみたかっただけだった、ということだろう、今思えば。そんなことを考えていたのがたぶん小学校一、二年生の頃だと記憶している。その頃我が家は二階建てで、二階には足踏みオルガン(母親がもらってきたものだと記憶している)があった。でも右手で単音メロディーを弾くことしかできなかった。特にピアノを習っていたわけでもないので、かっこよく両手弾きをすることは無理だった。そして小学校五年生の時に、念願のエレクトーンを習うことになったのである。先生は結構個性的な人だっただけあって、教え方は半端なくうまかった。最初に習ったのは和音。CとGとFのコードだったと記憶している。それ以来、この三つのコードを交互に鳴らしまくって好きに弾いていた。でも、結局教室が遠かったのと、音符が苦手という勝手な思い込みで、エレクトーンは一年でやめてしまった。

そして中学生になると、また別の世界を目にすることになった。シンセサイザーである。中学時代、楽器の「音」を聞き分けることにえらく凝っていたのを覚えている。
一般的な音、すなわちギター、ベース、ドラム、ピアノ、他のアコースティック系の楽器。そして気になるそれ以外の「音」。それがシンセサイザーなんだ、と知ったのは中学二年くらいの頃か。そしてその頃出会ったのが、YMO。シンセサイザーバリバリのテクノミュージックの先駆けバンドである。リアルタイムで聞いていたわけではなかったけど、ピコパコピュンピュンキラキラ系の音が舞うYMOの音楽は、シンセサイザーという楽器に対する期待感をものすごい高めたと思う。

その頃に読むようになった雑誌、キーボードマガジン。リットーミュージック社から出版されているこの雑誌は、日本でも老舗の鍵盤楽器雑誌である。もちろん、シンセサイザーとは面白い音をたくさん出す鍵盤楽器、としての認識しかなかった中学生にとってこの雑誌はものすごい難しかった。それでも日増しにほしくなるシンセサイザー。YAMAHAのDX7やSYシリーズ、RolandのJVシリーズ、KORGのM1、01/Wシリーズ。今思い返しても懐かしすぎる。よくわかっていなかったくせにほしがってたRoland JV35。ワークステーションとかいうやつがかなりホットらしい、と知ってからほしくなった01/W。この頃はもうエレクトーンもあまり弾かなくなっていたものの、バンドにおける鍵盤楽器(オルガンやシンセ)に興味はシフトしていた。中学の音楽室に置いてあったDX7Sを恨めしくじーっとみつめていたのもこの時期である。音楽の先生が電源を入れて弾き始めたときのあの衝撃は今でも思い出せる。FM音源のキラキラしたストリングス系の音だったと思うけど、ああ、これがシンセなんだ…と思っていた。

しかし、最初に買ったキーボードはYAMAHAのPSR300。シンセじゃなく、ポータブルキーボードだった。だからモジュレーションホイールもピッチベンドもついていなかった。これを買ってもらう前に母親に「JV35がほしい」と直訴したが、値段であっさりと蹴られてしまった。それもそのはず、中学生に30万の買い物は高すぎる。「大して弾けないんだからこれで十分」と言われて、近くのディスカウントショップで買ってもらったのがこのキーボードなのだ。でも、このキーボードで練習しまくった。コードを覚えまくった。Deep PurpleのLazyとか頑張ってコピーしまくったのである。だからこのキーボードが原点でもある。懐かしい。懐かしすぎる、これ。

YAMAHA PSR300
YAMAHA PSR300

今まで弾いてきたシンセを並べてみる。

YAMAHA V-50。記念すべきマイファーストシンセ。PSR300の機能を使い倒して使い倒してもう物足りなくなりまくっていた頃に、高校入学祝いとして中古を買ってもらった。8トラックシーケンサー、FM音源、リズムマシンも付いている、オールインワンシンセだった。これで色々打ち込んだり、弾きまくった。学校にも持って行った、キーボードバッグに入れてチャリで。音作りとかは苦手であまりやらなかったけど、シンセの基本はこれで勉強したようなもの。後にKORG 01/W購入資金のために売りに出されてしまったけど、落札者の方がかなり前から欲しがっていた方だったので良かった。取引の際に、「ずっと欲しかったシンセで色々とメンテ方法を今から考えています、楽しみです。」というメールを受け取って心底ほっとした。こういう人に引き取られて良かったと思う。最後の頃のこいつは、もうボタンもあまりきかなくなってきたし、FDDも壊れてしまってた。それでも手放すのはけっこう惜しかった。やっぱりマイファーストシンセ、だったからだろう。

YAMAHA V-50
YAMAHA V-50

Roland XP-60。高校卒業してしばらくたってから、今度はV-50では我慢できなくなったので新たに購入したRolandのシンセ。セカンドシンセということになる。シーケンサーは16トラックで、音はキラキラそして細め、といった感じ。このシンセは本当に扱いやすかった。XP-60とV-50の二段重ねという、中学の頃からの憧れレイアウトを実践したのもこの頃。ちなみにV-50とPSR300の二段重ねというものすごいレイアウトも試していた。シュールな眺めだった。XP-60をもし手に入れられるなら、今でも欲しい…かもしれない。

ROLAND XP60
ROLAND XP60

KORG M1。KORGの音がどうしても欲しくて、オークションで購入。2万円くらいだったかな。家に届いて、早速電源を入れて、一番最初のパッチを聴いたときに、その音の太さにぶっ飛んだ。1988年に発売されたとは思えないほどの音。それに輪をかけて良かったのが鍵盤のタッチ。いまだにマスターキーボードとして使用する人がいる、というのも納得できる話。思い返せばM1とXP-60で色々遊んだ。音的には、XP-60は完全に負けてたと思う。MIDIでつなげたり、合わせて中古のミキサーも購入して二台をつないで宅録なんかもやっていた。

KORG M1
KORG M1

KORG 01/W。ワークステーションという概念を確立させた機種、というのをどこかで聞いたことがあったため、手に入るのならどうしても手に入れたかった一台。M1とV-50をオークションで売って、中古で購入。程度は良かったんだけど、バックライトが暗かった。音は太いプラスちょっとこもりがち、といったところか。確かこのシンセも16トラックシーケンサーをつんでいたはずだけど、シーケンサーはまったく使わなかった。しばらく弾いていて鍵盤がひとつ重いところがあってブルーに。そしてM1の音が恋しくてまたまたブルーに。音的にはM1の方が自分的には完全に好みだった。あまり弾かなかった覚えがあるけど、実はまた最近(と言っても二年くらい前だけど)手に入れた、しかもtwitterのフォロワーさんが送料だけでゆずってくれたんだよね。大事にしてます。たまにWebで弾いてる。

KORG 01W
KORG 01W

KORG KARMA。赤い色をした異色なシンセ。結婚を機にシンセを一台にしようと思い、XP-60と01/Wを売って、新品で購入。自動的にフレーズを生成するKARMA機能を店頭で試しているうちに、なかなか面白いシンセで欲しくなったというのが購入動機。しかしKARMA機能は色々と面白いんだけど、ダメダメだったのが鍵盤。これは致命的だった。タッチで一番近いのは、なんとあのPSR300。かっちりとしたタッチではなく、何かこうペコペコした感じなのだ。しかもアフタータッチをを利かすのに鍵盤を押し込むと、ある部分でカチッとスイッチが入る仕組み。これじゃアフタータッチというよりはアフタースイッチじゃん、っていう。このシンセはただKARMA機能をバックに適当に弾くという使い方しかしなかった。シーケンサーも何も使わなかった。本当は色々と面白いシンセなんだろうけど、ちょっと物足りなかった。でもコンセプトは好き。購入までしたのですから。しかしこのシンセ、マニラ行きの資金繰りのためやむなく売却。PSR300を購入した中学生以来、初めて鍵盤なしの生活に入ってしまったという。

KORG KARMA
KORG KARMA

シンセを知らない人でも名前だけは知っていた(らしい)YAMAHA DX-7。鍵盤なしの生活があまりにも辛すぎて、それを見かねた我が奥様の慈悲により、近所の中古楽器ショップで購入。一万円。程度はかなり良く今でも元気に鳴っている。同じユニットのギター弾きのTOMから借りてるギター用のエフェクターを通すと結構いい音する。実はこのシンセ、中学生の頃からの憧れのシンセ。世界初のデジタルシンセで、80年代の音楽シーンには必ずといっていいほどその音色が使われているだろうと思う。シンセサイザーという楽器をはじめて知った頃、何もわからず、でもDX-7ていうシンセが欲しいとただひたすらに思っていたあの頃。中学校の音楽室で聞いたDX-7はこの初期型DX-7ではなく、DX-7IIが出た頃の廉価版DX-7Sだった。購入した日、久々に我が家にやってきた鍵盤をアンプにつなげて音を出してみると、やはり30年近く前の楽器、エフェクターも何もない状態では非常にチープ。
しかし一世を風靡したあのパッチ、DXエレピ(11番!)はやはりなんとも言えないきれいな音だった。エフェクターつないでコーラスとかかけると今でも全然イケる。このシンセ、友人の結婚披露宴にて大活躍。披露宴会場にあった年代もののエレクトーンが使い物にならず、やむなく出動することになったDX-7、新婦には内緒で新郎が歌う曲の伴奏に使用。曲は福山雅治のミルクティー。もちろんパッチは11番、DXエレピ。緊張して胃が痛くなった思い出とともに、DX-7は今のところ手放す予定はなく、今でも自分のシンセラインナップに入っている。

YAMAHA DX7
YAMAHA DX7

KARMAを売ったのは、あまり気に入っていなかったKARMAを売却して別のシンセを買おう、というのが本当の理由だった。候補はKORGのTriton。でも楽器屋へ何回か足を運んでFantomをいじっているうちに、いいなぁと思ってしまった。しかも最初は64鍵を買う予定が76鍵になり、でもこれを機にピアノタッチにきちんと力を入れるのはどうだろうか、と思ってしまい88鍵に手を出す羽目になった、という。そして今でも自分のメインシンセとして君臨。

Roland Fantom X8
Roland Fantom X8

というわけでこの遍歴を経て現在我が家にあるシンセは3台。Fantomと01/WとDX7。昔は小室哲哉ばりにシンセに囲まれることにすごい憧れてたんだけど、今は何かこうシンプルにマスターキーボードと音源幾つか、みたいなのでやっていきたい気がしている自分がいる。てか、近所のピアノ教室に本気で通おうか考えてる…バイエルとかツェルニーとか全然弾けないんだもん。

まあとりあえずはKC60が届くのが楽しみなので頑張って練習してTOMとまたユニット活動を再開させたいのだ。

Hatena Bookmark - シンセ遍歴(今週の一曲)
Pocket
LINEで送る

2 thoughts on “シンセ遍歴(今週の一曲)”

  1. すばらしいエントリに涙ちょちょ切れました。思えば、僕はギターに手を出す前、ピアノも弾けず、金もないのにTKのように何台ものシンセをいっぺんに弾く自分を夢見て、シンセのカタログを集めたり、シンセ関係の雑誌を買ったりしていたのです。初めて関心を持った楽器の広告は父がアコギでフォークソングを弾くために買った歌の本の裏表紙に載っていたPSRの広告でした。その後小学高学年から中学生くらいのころキーボードマガジンや、それよりももう少しとっつきやすいキーボードスペシャル等の雑誌を読み始め、そこに載っている楽器屋の安売りの値段をチェックしてはうなる毎日でした。その中でもとりわけJD800が欲しかったのですが、そんなもの買えるはずもなく、一番安いシンセをチェックするとV50だったりしたわけであります。当時行動範囲がそれほど広くなく、都心の楽器屋などにいくことのなかった僕は、楽器屋へ行けばただでもらえるカタログを手に入れるために、わざわざヤマハやローランドにカタログ請求をして、手に入れたカタログをボロボロになるまで見たものでした。ローランドのカタログにはJDはもちろんJVシリーズとXPシリーズものっていて、ヤマハのほうにはEOSやSYとかVP/VLとかも載っていたものです。KORGはアナログ時代を抜け出したころのキースエマーソンが弾いていたような写真をどこかで見たような気がするのですが、なんというかテクノになる前はロックの楽器っていう印象があって、バイクで言うところのカワサキのようなイメージが僕の中でありました。鍵盤をどうしても弾けず、ギターを弾き始めた後も、バンドのキーボード弾きがどんなシンセを使ってるかとかには絶えず関心があり、以前いたバンドでGlobeのファーストアルバム全曲再現という企画をやった時も、鍵盤弾きがいいシンセを使うために、自分のギター関係の機材を少なくして、おまけにそいつのステージでのキーボードセッティングをしたりもしました。そして、ぜんぜん弾けないくせに、かつてはシンセを手に入れてしまったこともあるのです。私の初代シンセは、もう大人になったあとだったけど、Globeのコピーしたバンドのシンセ弾きがKORGの叶姉妹みたいなパールみたいな色したトライトンを手に入れていらなくなったというのでくれた、ヤマハの初代EOSのYS200。非常にちゃっちい楽器でしたが、楽器屋でしか触ったことのなかった”シンセ”が自分の部屋にやってきて超興奮しました。しばらくすると世の中にハードオフが出現しまして、ジャンクコーナーに気になるものが色々出始めたのです。そして、僕はそこから壊れたB700とB500とさらにB900EXをそれぞれ数千円見つけて、ぶっ壊れた鍵盤をYS200から移植して見事に修理し、中学生のころの夢をかなえたのでした。そういえばB900EXを手に入れるちょっと前に僕はレコーディングにこり始めたのですが、バックトラックを作るのをどうすればいいか悩んでまして、はじめはBossのドンカマを使っていたのですが後にビデオカセットくらいの大きさのQYシリーズのシーケンサーを手に入れて使っていました。QYとB900には似たようなシーケンサーがついていて、曲のAメロBメロとか選んで、コードを指定するといい感じにバックトラックを作ってくれるという機能がありまして、自分で弾いてリアルタイムな打ち込みの出来ない自分はたいへん重宝したのを覚えています。その当時はタスカムだかTEACのカセットMTRや後にヤマハのMDのMTRとかを使ってレコーディングしていたんだけど、後にZoomとかからハードディスクレコーダが出たり、PCの性能が飛躍的に向上してProtoolsとかスタインバーグとかを仕えるようになってからは、シーケンサーを内蔵したワークステーションより、シンプルなシンセがバックトラック作る時もやりやすいのかなと思い始め、今では考えられないほど景気のよかった自分はついに初めて自分で新品のシンセを買ってしまったのでした。それはRolandのRS-5でした。基本ロックばっかの人なんですが、とうじトランスのシンセの音にはまっていたので、ノブでフィルターをシュワ~とやったり、その昔あこがれたJDっぽいストリングスとピアノの音が混じったようなパッチがあって、ぜんぜん弾けないくせに風呂上りに鍵盤を適当にたたいてうっとりしていたものです。でも今では全部どっかにいってしまった。あーあーなつかしい。

    Reply
    • 力のこもったコメント!

      似通ってる部分が多々あってだからこそお互いの音楽的路線が合うのかと思った。
      そうか、RS-5持ってたのか…あれはあれで手軽で良いシンセだったよな、懐かしい。
      KORGはキースを全面にフィーチャーしてましたね、Trinityくらいの頃から。
      個人的には今年は頑張って苦手意識を払拭してイカしたバックトラックをCuebaseで作れるようになりたいです…が手弾きでオーディオレコーディングってとこが関の山か。

      Tomのギター遍歴に期待。なんつって。

      Reply

Leave a Reply to transniper Cancel reply

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.